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栄光通信

栄光病院トップページ栄光通信健康のためのちょっとイイお話し【芸術と健康】

  • 2021年04月25日
  • 手と目と -医療版- Vol.27 より

健康のためのちょっとイイお話し【芸術と健康】

当院には図書室があり、先日、ふと目に入ってきたのは、ある画集でした。10年前に仕事で行っていた奄美大島(鹿児島市と沖縄本島のほぼ中間の島)で、田中一村記念美術館に寄った際、その絵をみる機会があり、一目見て思い出しました。

田中一村は明治から昭和にかけて活躍した日本画家で、関東出身ですが、中央画壇とは一線を画し、50歳にして単身で奄美大島に移住し、大島紬の染色工として働きながら、絵を描いて暮らし生涯を過ごしています。そのため、後に記念美術館がつくられています。

奄美大島は沖縄並みの暖かさと多湿な亜熱帯の環境で、そこに見られる、植物、鳥、魚などを題材に描かれていて、どの絵も色彩豊かで、大胆さが際立つ絵です。絵ですから説明してもどうにもなりませんが、『元気が出る絵』という感じです。

著作権の問題があり、載せられませんので、図書室やインターネットでみてください。

さて、このままですと健康に関係しないので、イギリスの「University College London」では2002年から50歳以上の男女を対象に『芸術に関連する社会的な活動と健康の関係』を調査しています。その報告では「芸術的な活動」に接する機会が多いほど、健康に関連するリスクを減らす可能性が指摘されています。 およそ14年間観察し、美術品鑑賞やコンサートなど、いわゆる「受け身」の芸術的な活動に参加する頻度と生存率との関係を調査しています。  芸術的な活動を「全く行わない」群では、52.5%でしたが、 芸術的な活動を「2、3カ月に1回行う」群では81.4%でした。「全く行わない」群より、生存率がおよそ31%高いということなります。

ここまでの差が実際にあるとはとても思えませんが、経済状況など、いくつかの関連する因子の影響を補正しても、「芸術的な活動」の健康に関するリスク低減効果は維持されることが示唆されています。 The art of life and death: 14 year follow-up analyses of associations between arts engagement and mortality in the English Longitudinal Study of Ageing.BMJ 2019;367:l6377

芸術と健康に関しての発表は非常に多く、2019年には、世界保健機構(WHO)が900篇をレビューしています。健康管理や予防治療に関するものが多く、子どもの発達の支援、健康促進行動の奨励、病気(高血圧など)の予防、精神的問題の支援などの多くの効果が期待できるとされています。

現状にあったかたちで、絵画をはじめとする芸術に積極的に触れてみてはいかがでしょうか。

栄光病院 健診センター 健診センター長代行 川端 隆史

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